【森山研】は全部聴く
「MY DEAR」
=== <912> jazz/salon, IU8N-TKMT(高松 紀子), 98/10/ 9 07:31, 18行, 1(45)関連
標題: 【森山研】『マイ・ディア』
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このアルバム、いちばん好きです。たぶん(聴くたびにいちばん好き!って思ってしまうタイプなのですけどたぶんいちばん好き)。なぜかと申しますと森山威男さんの魅力が溢れたものだからです。
ベースと森山さんが一体となって、新しい楽器が作られたような感じ。
人物的・楽理的・実技的には半魚人さん、ヨND0さん、ぶるさんが分析されるとしまして、ド・シロート(フランス語読み風ね)のりこりといたしましてはこのような感想文にて『マイ・ディア』の雰囲気をお伝えしたい。
自分と闇夜の境界線がどこだかわからなくなるときって、ありますでしょ。どこが鼻でどこが脚、目を開けているのか閉じてるのか、わからなくなるほどの闇。咲いて咲いて咲き乱れた薔薇園でのそんな闇のなかで、ただただ薔薇の狂おしいまでの香りに包まれる。いつのまにか、薔薇の香りと自分の境界が確認できなくなる。薔薇は確実に私に取り込まれる。私の神経は確実に何メートルか先にまで拡がりつつある。私は、どうなってしまうのだろう。
って、ゆうくらいすてきなアルバムです。大好きなのだ。
のりこり
=== <914> jazz/salon, LA1A-HR(堀 晃), 98/10/ 9 20:35, 19行, 1(44)関連
標題: 【森山研】「MY DEAR」
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森山威男と井上淑彦の出会いは、何がきっかけだったのだろうか。
2テナーのスタイル確立よりも、森山・井上の出会いが、その後十数年の演奏活動を方向づける重要アルバムと思う。 「楽理的」「実技的」解釈はぼくには無理なので、どなたかにお願いして、井上淑彦さんのキレのいいテナーが素晴らしい。
ぼくは、このメンバーでのライブをハチで聴いていますが、井上さんの音とのファースト・コンタクトでもありました。
このメンバーで「hush-a-bye」を聴き、感動しました。
……その後の活動も含めて考えるに、井上さんが音楽ディレクターを務め、森山さんは(ちょっと表現が難しいですが)「花形ドラマー」として、より自由に叩き出したように思えるのです。……チャンバラ・トリオにおける南方英二(チャンバラ日本 一・看板)と山根伸介(リーダー)の関係に似ているといえましょうか。
できれば井上淑彦さんに直接インタビューしてみたいところです。「あなたは、いつ森山さんを聴いて、どんな機会から競演することになったのですか」と。
それほど、この関係は重要です。
全曲、どれもこれも素晴らしい。
半魚人
=== <919> jazz/salon, IB9S-YSI(吉井 誠一郎), 98/10/10 00:25, 47行, 1(43)関連
標題: 【森山研】「MY DEAR」
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いやあ、何と言うか、ぎっちりと中身の詰まった、むちゃくちゃ密度が濃いアルバムであります。聴くほうも相当に気合いを入れてかからないと、あっという間に正面から吹っ飛ばされてしまいかねません。
まず「ノン・チェック」ですが、イントロで森山さんとともに出てくる望月さんの音が凄い。これで一気に引っ張り込まれます。それから、途中で藤原さんとデュオになる部分のスピード感には相当なものがありますね。あと、やはり井上さんの存在は大きいですねえ。何といっても音がこせこせしていなくてスケールがでかい。これは森山さんも後ろでやってて、凄く叩きやすいんじゃないかしらん。
次にタイトル曲「マイ・ディア」ですが、これは森山さんの必殺のブラシを 堪能する曲でありましょう。テーマが繰り返されたあとに「したたたん」と 出てくるところなど「出たーっ」てなもんです(^^)。サックス2本とベース がゆるやかにテンポをキープする中で、森山さんが自由自在、縦横無尽に叩 きまくるところなどこの上なく痛快であります。でも、同時になぜかどこと なくもの哀しい感覚もつきまとって来たり。曲調もあるのかも知れませんが。 ちなみに、僕はPONTA BOXの「THE ONE」に入っている「Salvador」という曲 を聴いた時にも似たような感じを抱きました。
3曲めの「ノー・モア・アップル」では、森山さんのプレイにエルヴィン色 が強く出ています。このスタイルも、森山さんの中の重要な部分を形成して いるのは間違いのないところですね。それにしても、何となくテーマ部分の 音が中近東あたりっぽいような気がするんですが・・・。気のせいかな。
ラストの「ストーミー・サイレンス」は井上さんの曲ですが、どっちかと言 うと森山さんの曲調に近いかも知れません。さて、この曲での森山さんのソ ロは、それまでとはちょっと感じの違うところがあって、どことなく日本の 太鼓を思わせるフレーズがあります。いみじくも、このアルバムのライナー ノーツで、青木和富氏が森山さんのプレイを「日本の祭だいこ」になぞらえ ているのですが・・・。
全体を通して、井上さんの占めるウェイトがかなり大きいかな、という印象 を受けました。マイルスの黄金のクインテットやブレイキーのジャズ・メッ センジャーズにおけるショーターの位置づけと近いものがあるかも知れませ ん。そう言えば、昨年末に新宿のDUGで森山さんをはじめて至近距離で聴 いた時は井上さんのワン・ホーン編成で、「凄いテナーがいるなあ」と思っ た記憶がはっきりとあります。そうそう、それから望月さんがかなり前面に 出てきたかな、という感じも受けましたね。
しかしまあこれ、ピアノの入り込む隙間がどこにもないですなあ。下手に入 ろうとしてもあっという間に弾き飛ばされそうだ。
ぶる
=== <920> jazz/salon, XL4O-ENDU(遠藤 治), 98/10/10 02:39, 35行, 1(42)関連
標題: 【森山研】『マイ・ディア』
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ピアニスト・板橋文夫さんが脱退し、フロントに2本のサックスを揃えた カルテットで1982年に録音されたのが、『マイ・ディア』。本作品からし ばらく、井上淑彦さんの作品を2サックス・カルテットで演奏する時代が続 きます。井上さんの作品は、基本的にコルトレーン・イディオムを踏襲しな がら森山さんのドラムスを最大限に際立たせるスリリングなシンコペーショ ンを多用した、いわば「動」の路線と、郷愁に満ちた「静」の路線からなり、 いずれにしても偉大なドラマーの最高のショーケースとして機能することに なります。
1曲目は「ノン・チェック」。最高に「動」です。ともすれば単調になり やすいモード一発の曲ですが、工夫された構成上で見事に緊張を維持してい ます。ベースとドラムスだけのイントロ〜4人の合奏〜井上さんのテナーと ベースのデュオ〜ドラムス加わる〜4人の合奏〜ベースとドラムス上で藤原 さんのソプラノのソロ〜藤原さんとドラムスのデュオ〜4人の合奏〜ドラム ソロ〜4人の合奏といった構成の中で、各人がそれぞれの聴かせどころで最 高の仕事をしています。
2曲目は「マイ・ディア」。最高に「静」です。井上さんのテナーと藤原 さんのソプラノと望月さんのアルコ(弓弾き)による3本のラインが織りな す三拍子の郷愁に満ちた大変美しいテーマです。どこかビートルズの「ルー シー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」にも通じるものがありま す。テーマが終わると、一転して森山さんのフリーなブラシのソロになりま す。「ダブル・ヘリックス」状態といえば通じるでしょうか。山下洋輔トリ オ以来のあの泣きたくなるほど素晴らしいブラシです。ここでは2管+ベー スはブラシの背後で雰囲気を盛り上げる役割に終始しソロはありません。や がて雷が遠ざかるようにブラシが鎮まり、美しいテーマが再び奏されます。 3曲目は「ノー・モア・アップル」。「動」です。ラテンっぽいリズムで 中近東っぽいモードの曲です。望月さんと井上さんがフィーチャーされます。 4曲目は「ストーミー・サイレンス」。再び最高に「動」です。一応イン テンポなのですが、森山さんも望月さんも完全にフリーの世界へ行ってしま っていて、強烈にフロントをプッシュします。この曲のテーマも実にかっこ よくドラムスのアレンジは特筆ものです。
近年の森山グループが井上さんのこの頃の作品をほとんど演奏しないのは 実にもったいないことです。
by ヨNDO
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