HORI AKIRA JALINET

【森山研】は全部聴く

 「SMILE」

=== <861> jazz/salon, XL4O-ENDU(遠藤 治), 98/ 9/29 01:16, 25行, 2(7)関連
標題: 【森山研】『スマイル』
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 次のアルバムは、1980年11月10〜12日録音の『スマイル』。テナー・サックスが小田切一巳さんから国安良夫さんに代わったカルテットに、ゲストでマルチ・リード奏者の松風鉱一さんが加わり、スタジオ録音されていま す。そして、このアルバムをもって第一期森山カルテットの時代は終わります。アルバムごとに違うサックス奏者なのに何が第一期なのかというと、次のアルバム以降しばらくピアノの板橋文夫さんが参加しない2テナー+ベース、ドラムスという編成となり、サウンドがかなり変わってしまうからです。
 国安さん、松風さんといっても最近の方は御存じないかも知れませんが、当時新宿ピットインの昼の部には、サックスワークショップというバンドが出演していて、コルトレーンを基本にサックス・アンサンブルの魅力を加味したサウンドで異彩を放っていました。国安さん、松風さんともそのサックスワークショップに参加していたメンバーで、他には沢井原児さん、梅津和 時さん、片山広明さん(以上サックス)、国安くるみさん(p)、山崎弘一さん(b)、宮坂高史さん(ds)という顔ぶれだったと記憶しています。
 松風さんは『スマイル』の録音にゲスト参加した半年後に自身のリーダー・アルバム『グッド・ネイチャー』を初山博さん(vib)、望月英明さん(b)、森山威男さん(ds)という顔ぶれで録音しています。
 さて、『スマイル』ですが、後に森山クラシックスとなる板橋文夫さん作曲の「エクスチェンジ」「ワタラセ」「グッドバイ」に加え、松風さん作曲の「ステップ」、チャップリンの映画「モダンタイムズ」の主題歌「スマイル」というバラエティに富んだ曲をスタジオ録音ならではのちょっとした編曲を交えて、豪快に疾走します。板橋〜望月〜森山のリズム・セクションは実に重量級です。

by ヨNDO


=== <876> jazz/salon, XL4O-ENDU(遠藤 治), 98/10/ 1 00:19, 28行, 1(5)関連
標題: 【森山研】『スマイル』(続き)
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 曲目について簡単に触れます。
 「エクスチェンジ」。板橋文夫作曲の実に凶悪な曲です。大雑把にいうとラテン・リズムというのでしょうか、コルトレーン・カルテットの「夜は千の目を持つ」みたいにシンバルの真ん中やタムを駆使して複雑なリズムを作り出す上に、長い抑揚を持ったメロディが奏されます。またシンコペーションを多用したリズム・パターンの展開部は、当時流行していたフュージョン の影響をもろに感じます。咆哮するサックスも良いのですが、板橋文夫さんのピアノが、ぎらぎらとトレモロしグリッサンドして荒れ狂い、マッコイ・タイナーの影響下から独自の世界を築いています。
 「ワタラセ」。板橋文夫作曲の日本農村的三拍子の名曲です。松風さんはテーマでフルートを吹いています。ここでも板橋文夫さんのピアノが、リリカルにちょちょぎれています。
 「ステップ」。松風さん作曲のドルフィー・ライクな4ビート曲です。松風さんはアルト・サックスに持ち変えて激しいソロを聴かせます。アップテンポの4ビートにおける森山〜望月のスウィング感は筆舌に尽くしがたいものがあります。テーマも実にかっこいいです。
 「スマイル」。チャップリンの映画「モダンタイムズ」の主題歌で、ここでは国安さんのソプラノ・サックスをフィーチャーしています。前曲同様素晴らしいスウィング感です。ソロ交代時にブレークしたりするちょっとした編曲が実に心憎いです。
 「グッドバイ」。板橋文夫作曲の哀愁のバラードです。ひょっとしたら小田切さんへの追悼曲なのかも知れません。ここでも板橋さんのぎらぎらしたピアノが実に印象的です。

 全体を通して、実に濃い演奏です。本アルバムが未CD化なのは実に惜しい状況だと思います。

by ヨNDO


=== <895> jazz/salon, IU8N-TKMT(高松 紀子), 98/10/ 3 15:28, 17行, 1(4)関連
標題: 【森山研】『スマイル』
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 全体にわたって、ヤマトタケルノミコトの世界でございました。私にとって。一曲目の「エクスチェンジ」にはヤマタノオロチが住んでいるし。恐くて、でもなんか懐かしくてやっぱりオソロシイ世界なのです。
「わたらせ」、よこさんもお持ちのCDバージョンと違うところは、全編通して流れる水が、こちらは硬水であるというところ。ミネラル過多のんとか、氷とかとちがう第三の硬水、というべき硬い水がひたひたと身体にしみこみます。
武尊が悪事を働いた後死に、偉大な力で三途の川からよみがえりけり、ゆう感じ。
「ステップ」では、ふたたび悪事の限りを尽くします。懲りない神様。
「スマイル」で、あかるく笑ってまっすぐ生きて行く神様。
そして「グッドバイ」で心底後悔し、改心する乱暴者の神様なのであります。
悪の楽しさをを知ってて、その上で正しい道に生きようと決心する神様。
日本の神様は、最高なのでありました!

                               のりこり


=== <896> jazz/salon, LA1A-HR(堀 晃), 98/10/ 5 09:01, 18行, 1(3)関連
標題: 【森山研】「スマイル」
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 これはもう、ぼくにとっては国安良夫を聴くためにのみあるようなアルバム。
1975年、友人のかんべむさしがフルタイムになった時、「記念」にとセブ島往復の船に乗った。この時に乗り込んでいたのがテナーの国安良夫とピアノの国安くるみ(※)。まあスタンダードが主であったようですが。
 国安良夫の名前を聞いたのがこの時はじめて。
 実際にこれに近いメンバーで聴いたのは81年になってからではないかと思いますが、2テナーのひとりは井上淑彦さんだったと思います。
 結局、ナマでは一度だけ聴いたことになります。
 音色は国安さんのやや気の弱そうな笑顔と一致していて、まさに「スマイル」のタイトル通り。この曲ではソプラノですが。雰囲気は、したがって最後の「グッドバイ」がいちばん近い感じかな。これも「シクシク泣ける」((c)のりこり)系の名曲ということになります。
 ……どうも古い話ばかりだな。

                         半魚人

 ※国安くるみの名は、その御父君、シミショーが胡桃沢耕史にペンネームを替えた、そのペンネームの「半分」。また清水くるみに戻ったのかな。直木賞受賞の時の家族写真に、国安良夫さんだけが写っていたのが、なんとなくおかしい。


=== <898> jazz/salon, IB9S-YSI(吉井 誠一郎), 98/10/ 5 23:55, 45行, 1(2)関連
標題: 【森山研】SMILE
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ということで「SMILE」であります。まず「Exchange」。最近の演奏に比べるとかなりテンポが早いです。また、サックスが2人入っており、しかも2人とも音の感じが似ているためか、音が相当に重厚、いやむしろ「硬い」と言ってもいいくらいの音になっています。ひとつ前のアルバム「hush-a-bye」も2管ではありましたが、その時は片方が向井さんのトロンボーンだったために、それほど「硬い」音ではありませんでした。つまり、森山さんの音に対する志向が以前よりも「硬い」「ハード」な音に向いつつあったということが如実に見て取れるのであります。実際、このアルバムの後に板橋さんがバンドから離れてピアノレスの編成になり、和音楽器が無くなることによって(まあ、厳密に言えばベースも和音楽器ではありますが)音はさらにハードな方向へと突き進むことになるのです。

次の「Watarase」は言わずと知れた名曲でありますが、最近の演奏に見られるリラックスした、波が静かに打ち寄せるような感じは殆どありません。むしろ泥臭いと言ったほうが良いのではないかと思います。テンポが最近よりも速めであり、またフルートが入っていることもあって、余計にそんな感じを受けるのかも知れませんが。たとえてみれば、この当時の演奏は台風がやってきて水が大量に流れ込みつつある渡良瀬遊水地であり、最近の演奏は台風が去った後、水が引きつつある渡良瀬であると言うことができるのではないでしょうか。

続いて「Step」ですが、正直に言ってしまうと僕はこの演奏はあまり気に入りませんでした。特に最初にソロを取るテナー(2人のうちどちらなのかよく判りませんが)がのっけから何だか緊張感のない音で一向にスイングせず、もし万が一僕が後ろで叩いていたら「何やってんだ」ってんでドシャンとやるところです(←すげえ偉そう^^;)。

4曲めの「Smile」も、実はワタクシ、あまり気に入っていません。ソプラノ・サックス(ということは国安氏か?)のメロディ&ソロが、どうもテンションが低く感じられてならないのです。まあ、こうなってくると、結局は個人的な好みの問題になってくるのでしょうが・・・。

最後の「Goodbye」になると、今度は一転して国安氏の音がぴったりとハマり、とても良い感じになっています。してみると国安氏、速いテンポでばりばり吹くというのには向いていないということなのかしらん。

結局、このアルバムで「第1次板橋さん時代」は終わり、いわゆる「森山クラシックス」がすべて出揃ったことになります。この後、森山さんは更に「ハード」で「濃い」音へと加速度をつけて傾斜していき、そのために(あくまで想像ですが)ついには煮詰まることになってしまうのです。一時、東京から離れて引退同然の状態に陥ったのは、そのあたりが原因のひとつだったのではないかと勝手に推測しています(もちろん、それだけではないでしょうが)。

ぶる


=== <901> jazz/salon, LA1A-HR(堀 晃), 98/10/ 6 15:03, 4行, 1(1)関連
標題: 【森山研】こりゃすごい
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 ぶるさんが森山さんと入れ替わったようなSF解釈。
 実際に聴けないのが残念ですが、案外、温厚な国安さんが、ドラム、なにやっとんじゃと怒鳴りつけそうな……。
 とモバイルにて               半魚人


=== <903> jazz/salon, IB9S-YSI(吉井 誠一郎), 98/10/ 6 17:14, 17行, 0(0)関連
標題: 【森山研】あはあはあは
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つい好き嫌いを前面に出してしまいました。どーしても個人的に好きになれなかったもんで・・・。些か挑発的だったかしらん。 まあ、もし実際にうしろで叩いたら(そもそもそういうシチュエーション自体まず遭遇しないでしょうが、まあ例えということで)、あっと言う間に僕の力不足がバレて「何ちんたらやっとるんじゃ」という結果になるのは明白であります。
なんか最近、自分がど下手なのを棚にあげて、他人の音にはどんどんうるさくなってきているかも。特にドラム以外の楽器。ドラムだと案外、誰のを聴いても「ああ、うまいなあ」と思うんですが(もちろん森山さんは別格)、他の楽器に対してはどうも許容範囲が狭くなりつつあるような・・・。よく考えたら、こういうのって一番ハタ迷惑なタイプじゃないか。ううむ。いかんなあ。

ぶる


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