【森山研】は全部聴く
「FULL LOAD」
=== <766> jazz/salon, XL4O-ENDU(遠藤 治), 98/ 8/16 17:56, 40行, 3(33)関連
標題: 【森山研】『フル・ロード』
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かねてから予告の【JSは全部聴く】シリーズを始めます。
当【森山研】(半魚人さん、ぶるさん、のりこりさん、ヨNDO)は、これからしばらくの間、森山威男さんの全リーダー・アルバムを聴き、全員がそれぞれ感じたことを書きます。
リーダー・アルバム第1作は、『フル・ロード』。森山さんがまだ山下洋輔トリオに在籍していた1975年9月12日・13日・15日に録音されています。この頃の山下洋輔トリオの活動はというと、記録によれば「8月31日 京都円山野音で浅川マキ、泉谷しげる、山下トリオ、ジョイント。9月14日 同ジョイント・コンサート、日比谷野音」とあり、既に単なるジャズ・マニア以外の聴衆から支持されていたことを偲ばせます。
さて『フル・ロード』ですが、これは森山さんの他にはクラシックのパーカッション奏者が2名のみという異様な編成で演奏されています。編成だけ考えると東京芸大打楽器科卒という出自を思うのですが、一聴して明らかなように、もはや森山さんはジャズ・ドラマー以外の何者でもありません。
1曲目は「フル・ロード」。基本的に終始森山さんのドラム・ソロが疾走し、両翼からパーカッション奏者2名が色をつけるという趣です(だから実際にはソロではないのですが、やっていることはソロと同じです)。2曲目は「デュアル・ロード」。こちらも終始森山さんのドラム・ソロが疾走するのは同じですが、マリンバでしょうか、木琴系の楽器が終始フリー・インプロヴィゼイションを続け、ここぞというところで「だっ・だっ・だぁ〜」という決めが入ります(だから実際にはソロではないのですが…、2曲目の方が山下洋輔トリオ的ではあります)。
3曲目は「バイブロフェーズ」。「聖書期」とでも訳すのでしょうか、見慣れない言葉です。こちらは一転して、テンポのないサウンドイフェクト的な音群です。何も知らずにこれを聴かされて森山さんだと言い当てられたら大したものです。
記念すべき森山さんのリーダー・アルバム第1作ではありますが、全体の印象としては、演奏者間の高度なコミュニケーションによって成り立っていた山下洋輔トリオから、ジャズ・ドラマーとしての演奏技術だけを抽出したような感があり、それ以前の演奏、それ以後の演奏に比べると、なんだか居合いとか素振りとか、そんなものを見せられているような気分です。とはいえ、それが第一級の居合いであり、第一級の素振りではあるのですが。
by ヨNDO
=== <767> jazz/salon, LA1A-HR(堀 晃), 98/ 8/16 20:43, 15行, 1(2)関連
標題: 【森山研】おお、詳しい解説
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バンマスがえらい詳しい解説を書きなさったが、わしゃ、つかの間の3連休……実質的には土日の普通の休み……の終わりかけという情けない状態。明日は出社拒否か。
で「フルロード」に関して思い出したこと。
このアルバム発売に合わせてになるのかな、75年1月にわが住処大阪・FM大阪で「あるジャズメンの出発」という森山さん特集番組がありました。
ひとりのジャズマンに「ジャズメン」はおかしいが、タイトルはそう。
ここで「フルロード」のアタマ2曲の紹介がありました。
面白いのは、森山さんの「語り」で、東海林太郎の赤城の子守歌から始まる演歌史でありました。
こんな番組をナマで聞いた人は、ここでは少数派でしょうなあ。
半魚人
……あ。この番組で森山さんが「完璧なドラミング」としてあげられたのがフラナガン・トリオの「オーバーシーズ」におけるエルビンでした。
=== <768> jazz/salon, IU8N-TKMT(高松 紀子), 98/ 8/16 23:43, 22行, 1(1)関連
標題: 【森山研】ドシロートにとっての「フル・ロード」
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「フル・ロード」は私にとって、ある種ハードルでありました。
というのも、パーカッショニスト3名だけの編成、なんてビビるではありませんか。理解しがたい「文章」なら努力もしましょう、解らない絵ならモチーフを想像しましょう、だけど音楽は「生理的」に好き嫌いがありましょう?これ一枚分、聴き通せるかさえ実はオソロシかったのでした。
そこがドシロートのアサハカサ、これが実は生理的にとてもヨイのであります。治りかかった切り傷が甘痒く痛む感じの音色(指の傷でもいいし心の傷でもいいかな)と、両腕いっぱい拡げて抱え込んでやっと支えられるかなあ、と思ったらじわじわ質量のみぐっと増やしてやがてずしんと押しつぶされるような、ああなんて言えばいいのでしょう。ミリグラム単位でトンまで増やす感じなのであります。きめ細かくて、しかもばかでかい打ち上げ花火、かも知れません。
ヨNDOさんのおっしゃてらした「素振り」。これを真正面からうけて立つ相手がいる場合のオソロシサはいかばかりか。竹刀あるいは木刀で飛び散る血・肉片・髪・ホネ・内臓・そのほか何かわからないいろいろのモノが聴く人めがけて飛んでくるのであります。怖いのであります。
のりこり
=== <769> jazz/salon, IB9S-YSI(吉井 誠一郎), 98/ 8/17 01:17, 8行, 0(0)関連
標題: 【森山研】ぜいぜいぜい。
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一部情報筋では【森山研】からの除名・粛清が囁かれているぶるでございます(^^;)。先ほどバンド練習から帰ってきました。暑いよー。
【JSは全部聴く】、あっしも追いつきますので、しばしお待ちを。
ぶる
=== <771> jazz/salon, IB9S-YSI(吉井 誠一郎), 98/ 8/18 23:27, 32行, 1(28)関連
標題: 【森山研・JSは全部聴く】『フル・ロード』
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ということで、あたくしも遅まきながら参加いたします。
1曲めの「フル・ロード」。森山さん以外のパーカッションで、なんという楽器かはよくわからないのですが(スチール・ドラムとかかな?)メロディを出せるものが数種類入っており、これがピアノのような役割を果たしています。
これらが入って来た時の森山さんの叩き方が、山下さんと一緒にやっている時と似ていることからもそれが分かります。だから、一応「やりとり」は存在しているようですね。ただ、やはり山下さんと比べてしまうと強力さが足りないので(そりゃそうだ)結局は森山さんが突出するという結果になっています。
まあ、森山さんのリーダー・アルバムだからそれでいいんですけど。そうそう、曲の終わる寸前に、森山さんのものと思われる絶叫が入っています(^^)。
2曲めの「デュアル・ロード」は、感じとしては山下トリオの曲とかなり似ています。リズミックなテーマがあり、途中に「たんたんたーん」という、合わせ/ソロ受け渡し用のフレーズも入っているあたり、まさにそっくりですね。
森山さん以外の主な楽器としては、最初はヴァイヴ、ついでシロホンが加わっており、これらがやはりピアノのような役割を果たしています。森山さんとのやりとりもなされていますね。そういう意味では、このアルバムの中ではいちばん「わかりやすい」曲かも知れません。
3曲めの「バイブロフェーズ」は、森山さんのクラシック出身という側面にスポットを当てたものと思われます。これは、言われなければ森山さんだとはわからないでしょう。現代音楽のような、かなりアブストラクトな演奏です。正直言って、演奏の良し悪しはまったくわかりません(^^;)。
それにしても、全員打楽器のアルバムなんて、今の時代じゃまず企画が通らないだろうな、という気がします。そういう意味では、かなり実験的なアルバムであると言うことが出来るでしょう。
ぶる
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