大森望・日下三蔵編『虚構機関 年刊日本SF傑作選』(創元SF文庫)
筒井康隆編の『日本SFベスト集成』以来、32年ぶりに出るSFの年刊傑作選。
ええっ、32年もブランクがあったのかと驚く。
そういえば、おれも一度収録していただいたことがあるが、1975年版だったなあ……。
拙作も短いのが収録されていて、ちと面はゆい気分だが、この企画は継続していただきたいので、ぜひともよろしくご支援のほどを。
大森望さんと日下三蔵さんの編集。
大森さんの凄いところはSFファンダム感覚をモロに文壇(←死語ともいえるけど)に持ち込んで通用させてしまったところで、この巻でも、中原昌也や岸本佐和子を選ぶ感覚がいいなあと思う。一方、日下さんはSFに限らず中間小説全般に恐ろしく広く深く細かく読んでいる人で、歴史的な認識が凄い。ふたりのバランスがうまくとれて、面白いアンソロジーになっていると思う。
じつはおれもこの種の編集に関わったことがある。
日本文芸家協会編の「短編ベストコレクション」(徳間文庫)で、数名の編集委員のひとりとして5年やった。(それまで眉村さんが担当されていたのだが、ご家庭の事情で、こちらにバトンを渡されたかたちになったのである)
これは中間小説全般について選ぶので、SF(ホラー、ファンタジーなど広義に解釈して)は2、3編に限られる。
せめて5、6編は入れたいと思ったものであった。
『SFベスト集成』が続いていればなあと、その頃から感じていたのである。
このシリーズは継続してほしいと思う。
で……個別の作品については、まだ全部読んでないので触れないが、感慨深いのは、この中でおれが最年長であることだ。
いちばん若い小川一水さんはおれより30以上若い。その小川さんにして、すでに作家歴10年を超える中堅作家なのである。
『日本SFベスト集成』から32年というのを実感するなあ……。
(2008.12.22)
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