堀晃『バビロニア・ウェーブ』(創元SF文庫)
『バビロニア・ウェーブ』が文庫化されました。
本日(2/21)あたりから書店に並ぶはず。
18年前に出たわが長篇『バビロニア・ウェーブ』の文庫化です。
創元SF文庫の一冊。クラーク、アシモフ、ハインライン、アンダーソンからイーガンまで、ずらり並んでいるあの薄紫の背表紙と同色で並べていただけるとは、さすがに感激ですねえ。
自作について書くのはちょっと照れくさいのですが、せっかくこうして並べていただいたのだから、ちょっと宣伝を。
原型となる短編を書いたのは1977年で、この短編版は『地球環』に入っています。
なんと30年目に「決定版」となったわけですが……「終章」にかかわることですが、最近、新聞でも報じられた宇宙の大規模構造に関するニュースもあって、タイミングとしてはよかったかな。
この短編については、
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77年に発表されるや、石原藤夫博士を吃驚りさせ、小松の親っさんを仰天させて「虚無回廊」執筆の引き金となり、大野万紀氏にヴァーリィ「へびつかい座ホットライン」(当時未訳)よりアイデアは凄いと感嘆させ、カジシンに「本年度の最高傑作、後世に残ります」という速達を書かせ……しかし星雲賞の候補にもならなかった傑作。星雲賞はカジシンの「地球はプレイン・ヨーグルト」だったから、しかたないけど。まあしかし、今でも、「バビロニア・ウェーブ」は長篇版よりこっちの方がいいと誉めてくれる?人もいる傑作であります。
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などと書いておりますが、やや自画自賛。ただ(リップサービス半分と思いますが)小松さんがSSという巨大物体を書きたいと思った動機の一部にはなったようです。
「星雲賞の候補にもならなかった傑作」などと愚痴を書いてますが、長篇は星雲賞をいただきました。ありがとうございました。……ただ、星雲賞はSF大会でのファン投票によるもので、たぶんわが呻吟ぶりに対する同情票が多かったのであろうと想像しています。何しろこの年の長篇には名作『岬一郎の抵抗』があったのですから。
ま、しかし、それはともかく、今回は解説が福江純さん、イラストは加藤直之さんで、加藤さんのイラスト入りコラムもついています。
これだけで値打ちが上がったようなものです。
ということで、よろしくご支援のほどを。
(2007.2.21)
「あとがき」は下記で読めます。
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「バビロニア・ウェーブ」(東京創元社のウェブ)