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  筒井康隆『銀齢の果て』(新潮社)

 あちこちで話題になっている筒井氏「老年期」の傑作。
 70歳を越した老人たちによるバトル・ロワイヤルである。  インタビューも多く、先日の毎日新聞につづいて、週刊文春にも登場。
 
 この表紙、老人たちの背景が黒に見えるが、銀色。それもいぶし銀ではなくギンギラギンの銀で、これがパワフルな老兵たちを象徴しているのだと思っていたら、ちがった。
 文春の記事によれば「背景の銀色の部分が、読者の顔を映す鏡になっているんです」
 そんな趣向だったのか。改めて手にしてギョ。おれも参戦できそうな歳に見える。
 色々なテーマをはらむ問題作だが、いちばんの楽しみ方は「配役決定」である。
 作者自身が「理想の配役」を(一部は「小説新潮」に載ったが)BBSに発表していたが、ここで読めるようになった。
 以下、おれの感想は配役についてのみ。
 これは岡本喜八によって映画化されるべきであった。
 老いたる独立愚連隊の面々が繰り広げる町内戦なのである。
 わくわくしてくるなあ。
 主人公・宇谷九一郎は(まだ少し若いが)加山雄三か。原作とはタイプが少しちがうが、おれはやはり佐藤允がいいと思う。
 そして、ここに付き添う猿谷甚一は中谷一郎以外にない。愚連隊シリーズ以外に「顔役暁に死す」などの役柄がまさにこれだ。
 夫婦で刺し違える悲劇のカップルは「愚連隊西へ」における江原達治と水野久美の40年後の姿である。
 その他、堺左千夫、砂塚秀夫、中山豊、桐野洋雄、山本廉など愚連隊の面々が次々に出てくる。
 そして最重要人物・マッドサイエンティストの津幡は、原作の描写からいけば確かに山崎努しか考えられないが、ここは原作に書かれている性格を変えてでも天本英世に登場してほしいところだ。
 女優陣が手薄だな。雪村いずみ、横山道代、田村奈美くらいしか出てこない。
(2006.2.9)


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