滝川雅弘音楽担当番組2
『大和川の漁師たち』 滝川雅弘さんがふたたびテレビ音楽を担当!
−−ザ・ドキュメント−−
関西テレビ 2002年9月22日(日) 14:00〜14:55
昨年夏に放映の『闇市跡からの証言』につづき、ふたたび滝川さんが関西テレビのドキュメンタリー番組の音楽を担当。
ザ・ドキュメント『大和川の漁師たち』が放映されました。
ディレクターは『闇市跡からの証言』と同じ土井聡夫氏。
なんと大和川河口付近で生活する漁師たちの生活を追うドキュメントである。
あの大和川(まあ、汚いことで有名ですね)に漁師がいるのかと、まず驚くが、大和川の付け替え(柏原から大阪湾への工事)から300年の歴史があるという。
河口の「住之江」の語源が「澄みの江」と聞くと、なるほどと思う。
ただし、漁はすたれている。
ぼくも河口付近で、もと漁師の経営する安くて旨い魚料理の店を知っているが、転業も多いようである。
番組は、大和川漁の歴史やシラスウナギ漁の実態、南港開発や住吉大社の祭などを追う。
公害とか漁業権とか、社会問題としてではなく、満開の桜の季節から秋の祭までの半年、漁師たちの生活を淡々と追っている。『闇市跡からの証言』が鶴橋の市場で生活する人たちの素顔を追った姿勢と同じく、ここでも素顔の漁師をカメラが捉える。
漁だけでなく、むしろその生活は大阪湾を警備する「警戒船」としての仕事の方が多いようである。
つまり、大阪南港や大阪湾工事現場の「見張り」役。
漁船が南港の岸壁や倉庫地帯を走る場面や、工事現場や林立するクレーンを背景にした場面に、滝川雅弘のクラリネットが流れる。これはなかなかいいし、やっぱりジャズが似合っている。
たぶん即興演奏……と思う。が、雰囲気は映画『大運河』を連想させた。
それに、祭の場面での、意外に明るい演奏も印象的。
また、新しい番組にも挑戦していただきたい。
大阪の意外な生活を見せてくれた、優れたドキュメント番組と思う。