雑読雑聴 6
桂米朝『桂米朝集成』全4巻(岩波書店)
桂米朝師匠80歳を記念して刊行されている集成。2月現在、第3巻まで刊行されている。
編者は豊田善敬氏と戸田学氏。
これ、高いけど、ものすごくいい造りの本である。装丁が素晴らしい。
1、2巻は「上方落語」、3巻は「上方文化」、4巻が「師・友・門下」という構成。
雑誌や新聞、プログラムなどに掲載された短文やインタビュー記事、対談などが網羅されている。
プログラムなど断片的には保管しているものもあるが、よくぞここまで集めたものと感嘆する。
この種の作業、「桂歌之助」の文章を集めた経験があるから、多少は想像がつく。
スクラップブック数百冊が背景に感じられるのである。
で、この3巻目に「『題名のない番組』ふたたび」という座談会が収録されている。
「小松左京マガジン」に掲載されたもの。
出席は、出演者であった、桂米朝・小松左京・菊地美智子、ディレクターだった本田粛正の各氏。
聴取者代表ということで、かんべむさしと堀晃が入っているが、ぼくはほとんど発言していない。
これは、この座談会の「構成者」という立場で参加していたので、メモの方に忙しく、かつ話が脱線(というよりも、無関係なことの方が多すぎ)して、話題を「題なし」に軌道修正する方に気をつかっていたからである。
で、カセット・テープで4時間。
もう、構成なんてものはハナから考えてない雑談で、最後の方になって、ぼくが細部を色々確認する質問をしている。
しかもこの日、米朝師匠の体調はあまりよろしくなかった。
小松さんは例によって時々入れ歯を外しての早口。
いや、まいりましたね。
45枚ほどにまとめるのにほぼ1週間かかった。
テープ起こしに2日。
半日途方にくれ、あれこれと入れ替えて、だいたいの構成に1日半。
固有名詞や日付の確認、残っていた放送テープ(広田忠計さんの録音)のチェックなどに1日。図書館にも半日。
最終的なまとめと「肉づけ」に2日。
なるべく当時の「題なし」の雰囲気を出したかったのだが、各氏の口調、とくに米朝師匠の語り口をきちんと再現できているかとなると、はなはだ心許ない。
(もどってきたゲラでは、多少修正されていたが、ほぼそのまま通ったが)
ただ、潤色部分も多い気がして、最後の(構成・堀晃)という表記は遠慮したのであった。
こんな立派な「集成」に再録されるのであれば、「構成・堀晃」としておくべきであったなあ……。
と、内輪話というか言い訳というか、ちょっと後悔しつつ。
(2005.2.11)
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