『SF本の雑誌』本の雑誌社
「本の雑誌」の別冊で……SFガイド本というか、「初心者向け面白SF」なんて対談があるけど結構マニア向けというか、いかにも「本の雑誌」らしい対談やコラムがぎっしり詰まったバラエティブック。
巻頭で大森望・鏡明・風野春樹の3人で「SFオールタイムベスト100」を選ぶという乱暴な企画があって、これまた細部につっこみ入れたいところいっぱいだが、前記「日本SF全集」の巻末座談会と微妙に評価軸がちがうところが面白い。こちらの方が過激といえば過激。なにしろクラークが98位(幼年期の終わり)なんだものなあ。
それにしても、鏡明、本の雑誌のコラムくらいでしか見ないけど、相変わらずよく読んでいるなあ。この人の読書力には40年前から敬服しつづけである。
円城塔氏の書き下ろし短編あり、とり・みき「SF大将」が傑作。
「SF偉人伝」というコラムがあちこちに入っていて、この人選も(前半は本当に「偉人」で後ろへ行くほど面白くなる)ユニークである。
過去のSF関連の記事の再録もあり、小生の記事もひとつ載ってます。
79年(30年前だ)に書いた、ブラックホール関連解説書約20冊の比較。ずば抜けているのが佐藤文隆・松田卓也『相対論的宇宙論』(ブルーバックス)と書いた(まあ、誰でもそう評価しますわなあ)が、この本は昨年「名著復刻」として再刊されているから、ちょっと嬉しくなるねえ。
(2009.7.7)
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