中山一江『ハッピー介護の秘密』(AK企画)
「1リットルの涙」というテレビドラマが評判になったらしい。
見てないので、感想は書けないけど。
そのドラマの主人公の病気が「脊髄小脳変性症」である。
この病気がいかに難病であるかは中山一江さんの『GOGOおばさんとバックオーライ』で初めて知った。
本書はその後日談も含む決定版でもある。
副題は「難病を二人の荷物として歩いた道」
本書の感想は……。
実は、帯にぼくが推薦文を書いており、本の製作などにも多少関わっているので、支障ない範囲で出版までの事情を紹介しておきたい。
中山一江さんはぼくの小学校同級生である。
前著を出したとき、まだ「介護生活」の継続中であった。
その後……本書に書かれているような経過を経て、この12月が「三回忌」であるという。
そこで、「その後の経過」も含めて本にまとめておきたい気分になったという。
あれっ、これは『桂歌之助』を出した時の事情と似ているぞ。
中山さんは「自費出版」というか、そういう方面での出版を考えていたらしい。
そこで「あるところ」に見積依頼した。その内容がリーズナブルなものかどうかわからないので、ぼくに相談してきた。
それを見て、仰天、絶句、そして怒りすら覚えたのである。
明細は明かさないが、著者は製作費すべてを負担した上、「1冊も売れなくても」出版社は相当な利益を確保できる方式なのである。
この種の商売については、たとえば「ここ」など読んで、だいたいは知っていたが、ここまでアコギとは……。
ということで、以下はわが義憤からの行動である。
ぼくが彼女にアドバイスしたのは、次の3点。
・自費出版(個人出版)なら「桂歌之助」を作った経験があるからアドバイスできる。
・(前著がそうだったが)ある程度自分で売るつもりなら、ホームページを開設してネット通販を検討すればいいのではないか。
・いっそ自分の事務所を作って「出版者コード」をとればいいではないか。長い介護生活が終わって、講演活動なども行っているのだから、闘病記などを出したい人がいればアドバイスしてあげるのも奉仕だし、「良心的な価格」で手伝ってあげるのも仕事ではないか。
こんな話が出たのがこの夏。盆過ぎだったかな。
そして、それを本当に全部実行してしまった結果が本書なのである。
何事にも好奇心旺盛で積極的な性格であることは知っていたが、3ヶ月ちょっとでここまでやってのけたのだからたいした行動力だ。
ぼくもアドバイスし、多少手伝ったところもあるが(たとえば出版者コードやJANコードの取得、書籍用バーコードの製作などは初めてだが面白い経験になった)、取次との交渉やamazonへの登録など、手順や経緯など聞いて、へぇーっと感心することが多い。
ということで、内容に関係のない話になってしまった。
読後感をいえば、「いつ介護されることになるかもしれない」立場にいる者としては切実なテーマであり、作者の姿勢(明るさと好奇心)が示唆するところは大きい。
詳しくは中山一江さんのホームページ『GOGOおばさんのハッピー介護室』をご覧下さい。
(2005.12.18)